再就職支援 横浜のプロフェッショナルズクラブ公式サイト

ご投稿頂く毎にクラブ寄付金が加算されます
社会貢献へ 寄付ポイント計601,792点 → 詳細
プロフェッショナルズ・トーク 

 雇用不安をあおるマスコミの風説に騙されてはいけない

                     (株)ニッチモ 代表取締役 海老原 嗣生さん
「終身雇用の崩壊」「非正規雇用の増加」「就職氷河」・・・、この数年、雇用に対する不安が蔓延し、テレビや新聞でも度々センセーショナルに取り上げられてきた。この状況に「否」を唱える人物がいる。「雇用のカリスマ」と呼ばれる海老原嗣生さんだ。海老原さんは、数々の著書のなかで、公的な統計データを使い「作られた常識」のウソを指摘し続け、本来議論すべき問題と解決案を提言している。インタビューでは、その卓越した知見の中から、中小企業と学生を結び付ける秘策や中高年のキャリア等について、お話を伺った。


目の前の仕事を実直にこなしていくことで、夢が近づいてきた

――― 「雇用のカリスマ」と呼ばれる海老原さんですが、雇用のプロを目指すきっかけとなったのは
    何ですか?

海老原 僕の仕事は、人事や経営のコンサルティング、そして人事雑誌「HRmics」の編集長などですが、自分の中でプロだと思っているのは、雇用ジャーナリストです。もともと物を書くのが好きだったので、ジャーナリストになりたいとは思っていましたが、雇用ジャーナリストになりたいと思ったことは1度もありませんでした。だから、きっかけというものはなくて、その時々の目の前にある仕事と真剣に向き合い、実直にこなしてきたことで、今があるという感じです。でも、キャリアって、そんな風に作られていくものだと思うんですよね。もちろん夢は大事です。夢を持ちながらも、一見無関係に見える目の前の仕事を疎かにしない。そうすることで、逆に夢が近づいてきた・・・まさに、僕の場合はそうでした。
 はじめは、リクルート人材センター(現リクルートエージェント)で広告制作を担当していました。夢のように楽しい職場だったのですが、結構芽が出た頃に、広告制作部が廃止になってしまったんです。その後、独立するまでの約15年間、リクルートグループの中で、労働や雇用に関するマーケティングや雑誌の編集、新規事業などに携わりました。正直、編集以外は、全く興味のない仕事で、会社からやれと言われたからやっただけです。ただ、目の前にある仕事は、常に全力投球してきました。その結果、僕は、人材にすごく詳しくなったし、マーケティングの手法も大体はわかる、データの取り扱いは得意中の得意だし、執筆も編集もこなせる、そういう人間に成長できたと思っているんです。
 新規事業の立ち上げなんて地獄でしたけどね。立ち上げに関わった6つの新規事業のうち、1番大きく成長したのは事務アシスタント紹介サービスなんですが、当初のメンバーは、僕を含めてたった3人。そのため、企画担当の僕も営業に回らなければなりませんでした。朝から晩までテルアポして、時には飛び込みして・・・。39歳にもなって名刺を破かれるんですよ。嫌でしたね。でもね、雑誌の編集長として訪問していた時は、企業のいい顔しか見たことなかったし、いい話しか聞けなかった。一方で、営業で飛び込んでいくと、その会社の苦しんでいるところや悪いところも見えてくる。おもしろいですよね。同じ人間なのに、立場が変わると、見える景色が全然違うんですから。
 こういう経験を1つ1つ積み上げてきたことで、雇用ジャーナリストとして、自分なりの見方が育まれたと思っています。


「雇用不安」の中味は、ウソが多すぎる

――― 著書や講演を通し、そうして育まれた海老原さんの見解を、積極的に発信なさっていますね。

海老原 僕は、20年以上、雇用の現場を歩いてきたわけですが、雇用・労働の分野には、驚くほど多くのウソが常識としてまかり通っているんです。「終身雇用の崩壊」「成果主義導入による疲弊」「就職氷河によるフリーターの増加」「4人に1人がワーキングプア」など、これらは、すべて公的な統計データを丁寧に読み解けば誤解だとわかるものばかりです。詳しくは、拙著に解説しているので、お読み頂ければ嬉しいです。
 ウソが常識として定着してしまった例はたくさんあるのですが、例えば、1957 年に有沢広巳さんが発表した「二重構造論」。これは、日本の経済構造は、近代化した分野と前近代的な分野とに分かれていて、前近代的分野が社会を停滞させていると論じているんですね。曰く、近代化した分野が大企業で、近代化していない分野が中小企業だと。
 これは一面的な物言いです。確かに、中小企業は極端に赤字企業が多いのですが、一方で、営業利益率10%以上の会社比率は、大企業より中小企業の方が高いということがデータで確かめられます。同様に、中小企業のなかには、前近代的な企業もたくさんありますが、先進的すぎて規模の小さい会社もあるし、経営的には優良なのに、あえて大きくする意志のない会社もある。中小企業をひとくくりにして、前近代的と述べる二重構造論は、このあたりが誤りでした。
 それなのに、世間一般では、高度経済成長初期に発表されたこの論調に未だに支配されていると感じます。つまり「大企業に就職できれば安心、中小企業では大変、カワイソウ」というわけです。それは、あまりに単純ですよね。


中小企業と新卒者をつなぐものは、「触れ合い」

――― 今、中小企業の経営者は、人が集まらずに困っています。こうした誤った認識のせいで
    しょうか?

海老原 学生から見て、中小企業は「わからない」。これが1番の原因だと思います。大学卒が就職氷河だと言っているのは、これまた全くのウソで、実際の就職数は、全体で1割程度しか減っていない。では、なぜ氷河期と騒がれるかというと、大企業の採用が減るからなんです。例えば、09年度の新卒有効求人倍率は、従業員数1000人以上の大企業に限ると0.55倍でした。しかし一方で、1000人未満の企業では、3.63倍もある。この不況下でも積極的に新卒採用できる実力のある中小企業はいくらでもある。問題は、そうした中堅・中小企業に学生が行かないということなんです。
 でも、学生の気持ちもわかります。彼らが最初に受けに行くのは、CMなどで誰もが知っている大企業です。しかし、4年生の後半になっても内定が取れないとなると、中小企業に目がいくようになる。ただ、名前すら聞いたことがないし、資料を読んでもよく理解できない。だから不安で受けられない。そこは大学もよくわかっているから、一生懸命パンフレットを作ったりしているわけです。
 僕は、情報のインフラも大切だけれども、不安感を解消するための風穴は、「触れ合い」だと思うんです。確かに、ジョブ・フェアなど、直に話せる場もあるけれど、会社も学生も「よそいき」の顔ですよね。ですから、優秀な中小企業の経営者と学生を100から200名集めて、大規模な飲み会を開催すればいいんじゃないかな。大学の中で、定期的に。中小企業の良さって、経営的な良さとか仕組みの面白さもあるけれども、それとは別に、経営者の人柄そのものが大きな魅力だったりするんですよね。だから、ビールでも飲んで学生と意気投合したら、社員旅行に連れて行ってあげる。そこで、学生が自分と2、3才しか違わない先輩と一晩一緒に語ったら、会社の実情がわかってもらえるし、中小企業への見方が変わるかもしれません。頑張っている中小企業があって、頑張っている学生がいる。両者を結び付けるには、コミュニケーションが不可欠だと思います。
 政府は、様々な雇用対策を行っていますが、こういった飲み会や社員旅行にこそ助成金をつけて欲しいです。行政には、ぜひ現場を知ってもらい、生きたお金の使い方をしてもらいたいと思っています。

どんな情報も疑い、取り入れる知識を厳選する

――― 海老原さんの発言は、定説を覆す大胆な指摘でありながら大変説得力があります。そういった
    眼識はどこから生まれるのでしょうか?

海老原 僕のスタイルは、本の読み方にしても、データの見方にしても、基本的にイチャモンなんです。つまり、頭から信用せずに、僕が持っている知識や経験と照らし合わせて「それは、ちょっと違うんじゃないか」と疑うんです。例えば、本を読んでいて疑問に思う部分は赤線を引いていきます。僕の見方は違うけど、著者はなぜそう考えたのかな?と、1文1文を乗り越えてから、次に読み進むんです。だから、すごく時間がかかります。新書程度のボリュームでも2~3日、時には一週間かけて読み込んでいくんですね。
 また、読む時だけでなく、本を買う時にも時間をかけます。例えば、調べたいことや勉強したいことがあった時、まずウィキペディアなどで調べて、わからない個所に赤線を引きます。ここまでで2~3時間、次に、そのわからない所について書いてある本を本屋で探す。ここで半日。ですから、本を買うまでに1日近くかける。決して、10冊、20冊という買い方はしない。「これは最適だ」と思う1冊を購入するんです。
 僕は、乱読とか速読とか、全く興味がありません。たくさんのことを知る必要はないと思うからです。その代わり、取り入れる知識は、必ず自分の栄養になるように、よく咀嚼してから体に入れる。自分の体に、合成着色料や合成甘味料のような毒を入れないために、取り入れる知識の選別にもとても時間をかける。そして、取り入れた知識は必ず使う。これが僕のスタイルなんです。


中高年のキャリアには2つの形がある

――― 最後になりますが、「プロフェッショナルズクラブ」は、中高年の方々が対象のSNSです。
    中高年のキャリアについて、お聞かせ下さい。

海老原 日本でキャリアをまっとうするとはどういうことかを考えると、40代以降のホワイトカラー職の方たちについては、「ジェネラリスト」として生きるか、「スペシャリスト」として生きるか、2つの形しかないと思っています。
 まず、「ジェネラリスト」についてですが、ホワイトカラー職においては、40歳前後で約半分の方が課長に昇進しているというデータがあります。「課長は何もしないでハンコを押すだけの人」などと揶揄されることがありますが、人事労務に詳しい人間から見ると、大間違いです。10年、20年、その会社にいた人たちは、若手には真似のできない見えない力を発揮している場合が多いんです。
 例えば、新規事業を始めたいと相談された時、「マーケッターはあいつがいい」「営業はあいつがいい」とアドバイスできるのは、人事や他の部門に豊富なコネクションを持つ課長だけです。もしくは、若手が新たな営業戦略を持ってきた時、「それは、1回目の営業では顧客が取れるけど、リピーターは集まらないよ」と言えるのは、これまで多くの営業戦略を立案し結果を見てきた課長だけなんですね。
 こうした社内コネクションや経験値をもとに、迅速かつ正確な意思決定ができるというのは、社内では大変な価値があります。ジェネラリスト課長の妙味は、こんな社内のコネクションや経験を蓄積した内部昇進者だからこそ生まれるのであって、外部から登用した課長に同様のパフォーマンスを期待することは難しい。逆に言えば、厳しい言い方ですが、「ジェネラリスト」は転職市場では価値がなくなるということになります。


――― 確かに、「ジェネラリスト」の立場というのは、見方によっては、厳しくなりますね。
    では、もう1つの「スペシャリスト」で生きるとはどういうことですか?

海老原 率直に言って、変化の激しい時代の中で、技術力や発想力の「スペシャリスト」としてのピークは、一般的に30代だと思っています。ただし、人事や転職エージェントの現場から見てわかったことですが、少数とは言え、中高年になっても「スペシャリスト」であり続ける方がいます。ジョブホッパー(転職を何度も重ねる一部の人)と呼ばれる方たちです。
 日本では35歳を過ぎたら転職するのは難しいのが現状なんですね。20代前半で年間10%程度の転職率が、40代では2~3%まで下がっています。転職が盛んと思われている欧米でも、40代は5~10%です。この熟年転職者が、ジョブホッパーと呼ばれるのですが、ジョブホッパーは確かに「スペシャリスト」ではありますが、別の形のプロに変わることができた方たちなのです。
 例えば、経理のプロを自負する方が、ベンチャー企業に転職したとします。そして、経理でものすごい仕組みを作って見事上場を成功させる。そうすると、今度は上場を狙う他のベンチャー企業から引き合いが来るわけです。そして、また転職する。上場を成功させる。これを繰り返し、彼は、経理のプロというより、「上場を考えるベンチャー企業」というステージで、上場請負人として活躍するプロになっていく。
 別の形のプロと言ったのは、こういう意味なのです。このように、「スペシャリスト」というプロから、「ステージのプロ」に変われた人は、転職してうまくいっています。
 最後に、余談になってしまうかもしれませんが、僕は、団塊の世代の方に、ぜひ聞いて頂きたいことがあるんです。団塊世代は、富も仕事もいいとこ取りの勝ち逃げ世代で、若者には、苦しいものしか残っていないというのが今の論調で、『「若者奴隷」時代』なんて本まで出ています。でも、僕は、客観的に見て、それは違うと思うんです。団塊世代のトップランナーである1947年生まれの方は、40%近くが中卒で働いていて、大学に行けた人はたった15%程度です。この時代は、肉体労働をやる人はいくらでもいたから、中卒で小さな町工場に勤めた人の給料は、すごく安かったし、高卒で大きな会社に入った人も、自分は学歴がなくて苦労したから、せめて子供は大学に・・・っていう人が一杯いる。そういう彼らが勝ち逃げ世代なのかと。「あの頃は夢があって、確立されたレールに乗っていれば、みんなが幸せを掴めた」っていう批判も、本当なのかと。今、短大や専門学校を含めると、高等教育機関への進学率は70%にもなります。派遣労働は賃金が安いと言われているけれど、製造業派遣で日給8000円はもらっている。ニコヨン(日給240円)で働いていた1960年代の肉体労働者と比較して、本当に「昔の方が良かった」と言えるのでしょうか。だから、団塊の世代の方には、もっと声を上げて欲しいです。真実を伝えて欲しい。物事ってコントラストを強くすると、理解しやすくなるのかもしれないけれど、「若者は損、お年寄りは得」とか「小泉改革の賛成、反対」とか、そんな風に集約して考えてしまっては、本当の問題を見誤ってしまうと思うんですね。雇用の問題にしろ何にしろ、1つ1つを疑いながら解を考えるべきだと思っています。



【海老原嗣生(えびはら つぐお)さん プロフィール】

(株)ニッチモ 代表取締役、『HRmics』編集長
(株)リクルートエージェント ソーシャルエグゼクティブ
(株)リクルートワークス研究所 特別編集委員

1964年、東京生まれ。上智大学卒業後、大手メーカーを経て、リクルート人材センター(現リクルートエージェント)に入社。コピーライターとして、最も名誉あるTCC新人賞受賞。その後は、新規事業企画と人事制度設計等に携わった後、リクルートワークス研究所へ出向し、「WORKS」編集長に。専門は、人材マネジメント、経営マネジメント論など。2008年に(株)ニッチモを立ち上げ、HRコンサルティングを行う他、リクルートエージェント社のフェローとして、同社発行の人事雑誌『HRmics』の編集長を務める。転職エージェント漫画『エンゼルバンク』の主人公 カリスマ転職代理人・海老沢康生のモデルでもある。

主な著書
・『雇用の常識「本当に見えるウソ」』(プレジデント社)
・『学歴の耐えられない軽さ』(朝日新聞出版)
・『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(プレジデント社)
・『課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣』(朝日新聞出版)
・『「若者はかわいそう」論のウソ』(扶桑社新書)
・『仕事をしたつもり』(2010年8月発売予定)

株式会社ニッチモ ホームページ
http://www.nitchmo.biz/


*プロフィールは、インタビュー公開時(2010年7月)のものです。


マイページトップ最新情報ll
. .最新ニュース
.全国天気予報
. .道路交通情報
.鉄道運行状況
. .ベストセラー
.映画興行成績

マイページトッププロのトークl
. .乾 敏晃さん
.ホットインフォース
. .吉田 憲人さん
.ゴヤット
. .吉枝ゆき子さん
.ソフィットウェブプランニング
. .海老原嗣生さん
.ニッチモ
. .濱田 秀彦さん
.ヒューマンテック
→一覧

ブログ
新着ブログ一覧
日本旅日記
世界旅日記
ブログの投稿方法
投稿時の文字化け対策
写真の掲載方法
お気に入り・足あと機能
寄付ポイントについて
会員プロフィール例
ご友人招待のお願い
新着マイニュース活用法
ご質問はこちらへ


コミュニティ 
仲間づくりCOM(新着)
同窓同期会COM(新着)
プロサロンCOM(新着)
コミュニティの投稿方法
→コミュニティ一覧


便利なサイト
情報源!  ・知恵袋!
価格比較  ・地図検索
道順検索  ・道路検索
駅駅時間  ・宿泊予約
市外局番  ・郵便番号
手紙文例  ・冠婚葬祭
書式全般  ・起業書式
図書検索  ・辞書辞典
健康料理  ・介護医療

関連リンク先

ジョブスタ相互リンク

運営会社より
日経新聞 月刊誌で紹介
会社代表ご挨拶
株式会社プロフェッショナルネットワーク
熱海後楽園ホテル
株式会社 向洋技研
中華料理の聘珍楼
ポリプラスチックス株式会社
運営会社 利用規約 プライバシーポリシー 個人情報取り扱い よくあるご質問 ヘルプ
copyright(C) 2007 PROFESSIONAL NETWORK CO., LTD. All Rights Reserved.